明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

初めて会ったあの日から一度も顔を合わせないのは、私がお飾りである証。

恒さんは私になど興味はないのだ。
ふみさんさえいれば。


「私はどうして差し上げたら、八重さまに笑顔が戻るのかわかりません。ですが、私は八重さまの味方です。なんなりとおっしゃってください」
「ありがとう、てる」


父が信吾さんの妹さんを見捨てたと知り、私たちは愛し合うべきではなかったと落胆した。

もう私にはてるしか味方がいない。


それから三日。

本来なら喜ばしくすぐにでも袖を通したいはずの黒留袖が、部屋の片隅にひっそりと置かれている。

これを纏った日。
恒さんと閨をともにしなければならない。

そして子を……。

そんなことを考えていると気分が悪くなり横たわる。


なんだか最近熱っぽい。


「あっ……」


いろんなことが起こりすぎて自分の体にまで気が回っていなかったが、私……月のものが来ていない。
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