明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「まさか」
そっと自分のお腹に手をやる。
ここに信吾さんとの子がいる?
途端に速まる拍動が苦しいくらいだ。
最近体調が思わしくないのは、気分がふさいでいるからだけでなく、もしかしてつわり?
もしそうだとしたら、どうしても産みたい。
愛する人との間にできた子を、殺めることなんて絶対にできない。
でも、婚姻はどうしたらいい?
黙って清水家に嫁いでも、とんでもなく早く生まれてしまう。
恒さんの子ではないとすぐに気づかれる。
私はその晩、子を守るためにはどうしたらいいのかと一睡もせずに考えに考えた。
そして翌朝、身支度を整えに来てくれたてるに、子を授かっているかもしれないことを打ち明けた。
私ひとりではどうにもならないからだ。
「八重さま……」
目を丸くしたてるだったが、「触れてもいいですか?」と目尻を下げて私のお腹にそっと手をやる。
「ここに愛おしい方のお子さまが……。それで食欲もなかったのですね」