明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「てるは喜んでくれるの?」
「もちろんです。私は八重さまがお幸せなら本望です」
彼女に出会えてよかった。
彼女が私付きの女中で、救われた。
「私……この子を産みたいの。この家を出て信吾さんにも頼らずに生きていく」
「どうしてですか? 黒木さまはお喜びになるのでは?」
「ううん。あの方は、警察官として輝いてこそなの。もう迷惑をかけたくない」
てるに、父が見捨てた女性が彼の妹さんだとはどうしても打ち明けられなかった。
そんなことが明るみに出れば、爵位返上どころか父は逮捕されるからだ。
父への怒りは収まらないが、さすがにそこまではできない。
「お覚悟があるのですね」
「そうね。この子を守りたいの。てる、家から出られる方法はないかしら?」
「八重さま……」
てるは神妙な面持ちでしばらくなにかを考えている様子だったが、キリリとさせた顔で口を開く。
「承知しました。まずは本当に子ができているか確認しなければ。少しお待ちいただけますか?」