明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
生き生きした表情を見せるてるは、一旦部屋を出ていきすぐに戻ってきた。
「裏門を出たところに、車夫を待機させました。汚れていて申し訳ありませんが、こちらにお着替えください」
てるは私に自分の着物を差し出す。
「どうして?」
「逃げるのに目立っては困ります。それと少なくて申し訳ありませんが、こちらを」
てるは私に小さな包みを握らせる。
それを開くといくばくかのお金が入っていた。
「これはてるのものでしょう?」
「お子さまを守るにはお金がいります。実は……待たせている車夫は、私の想い人なのです。結婚を申し込まれています。私たちは自分の気持ちのままに動くことができますが、八重さまはそうではございません。せめて私たちにも応援させてください」
てるが恋していたのは、車夫だったのか。
「でも、父に知られたら、てるたちもただでは済まないわ」
間違いなく暇を出される。