私の彼は世界一の有名人。〜世界トプ選手との恋愛事情〜
チナツの走っていく後ろ姿を
黙って見つめる。



『ははっ、』



零れてきた笑いは
懐かしさからか
愛おしさからか。



ウオォォォォオー!!!



スタジアムの方から歓声が聞こえてくる。



試合、始まったか。



彼女を確かにつかんでいた
両手を眺める。



あぁ、いくら掴んでも



いくら手を伸ばしても



いくら名を呼んでも



夢の彼女は掴めなかった



届かなかった



振り向かなかった。



あぁ、これは、



『夢じゃ、ない。』



やっと話せた。



やっと会えた。



色々考えていた3年間が無駄に感じるほど
彼女は変わってなかった。



持ち物も
髪も
体つきも
顔立ちも
背たけも



少しずつ変わっていた。



でも、彼女は



同じような反応に



同じような表情をする。



彼女が彼女のままでいてくれて



『良かった。』



さっきまでの光景を思い出して
どくどくと音が鳴る心臓を抑える。



あぁ、なんて心地いい



試合の時も



女と遊んでいる時も



何をしていたって得られないこのドキドキ



唯一チナツと共にいる時にだけなる
この心臓の痛さ。



なんて



愛おしい。
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