My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 3
「あのオヤジの話と、モンスターの出た場所とを考えるに、おそらく賊の根城はあのデカ蛇がいる辺りだ」
「えぇ!? じゃあ、ビアンカもしかしたら」
「見つかってる可能性は高いな」
私は青くなってすぐに駆け出した。が、またもラグに腕を掴まれ危うく後ろに転んでしまうところだった。
ラグは今度はすぐに手を離してくれ、呆れたふうに言う。
「お前が急いだってどうにもならねぇよ」
「でも、あのモンスターに襲われでもしたら!」
ラグが苦戦したジャガーに似たモンスター。あんなのに襲われたら身体の大きなビアンカだってただでは済まないだろう。
「あのデカ蛇に普通のモンスターは近寄れねぇ。あれはそういう存在だ」
これから向かう先を見上げながらラグが言う。
そういえばライゼちゃんもそんなようなことを言っていた気がする。
「でも、」
「まぁ、身の危険を感じて勝手に飛んで帰ってる可能性はあるが」
「ビアンカはそんなことしないよ!」
私はそう強く言って再び駆け出した。――ビアンカがそんな無責任なことをするとは思えない。なんにしても彼女の無事な姿を見ないことには安心出来なかった。
ラグは今度は止めなかったがすぐに私を追い抜き、私がどうにかついて行ける速度で山道を登り始めた。