月夜に笑った悪魔
「そういうのずるい……!優しくないっ!」
「うそうそ。助けてやるからあとでおまえの気持ち、ちゃんと教えて」
ぐいっと強く手を引っ張られて、私はエレベーターからおろしてもらえた。
「……ありがと」
小さくお礼を言うが、心臓はドキドキしたまま。
……気持ちを教えるって、私もまだちゃんとわかってないのに。
あとでって、いつだろう。
「……来月でもいい?」
ちらりと彼を見るが、
「はあ?今日中だろ」
当たり前だろ、とでも言うような反応。
「……もうちょっと時間ほしい」
「ぜったい今日。今夜は2人っきりだから考える時間もあんだろ?」
引っかかる言葉。
“今夜は2人っきり”?
「ね、ねぇ、そういえばここどこ……?何するの?」
疑問に思ったことを聞いてみると。
「ここは俺が借りてるマンション。1年ちょっと前まではここに住んでて、今も借りてるけど年に数回しか来てねぇ。
何するって……今日、ここに泊まるんだろ。俺とおまえの2人で」
暁は、自分と私を交互に指さした。