月夜に笑った悪魔


病院で、『あっためてくれんの?』と聞かれて私は確かに頷いた。
頷いたんだけど……今思うと恥ずかしすぎる。


あの時は気持ちをまだ自覚していなかったから、平気で言ったんだ。


ぎゅってしたら、私の心臓爆発しない!?




「お、お風呂入ってきて……。服濡れたままだと風邪ひくから、そのあとで……」


せめて心の準備をしようと思ってそう返すと、彼は。


「秒で出てくる。おまえは風邪ひくから髪乾かしておけよ」


ドライヤーそこな、と彼は指させば早足で脱衣所へと向かっていった。






……お願いだから、ゆっくり入ってきて。
心の準備を少しでも長くさせてくれ……。



きっと私の気持ちも聞かれるだろうし、そうなったら言わなくちゃだし……。


その前に、暁と芽依のことだ……!
2人のことをちゃんと聞いておきたい。


話はそれから。





そう思ったところで、離れたところから聞こえてきたのはシャワーの音。


その音を聞いて……無意識に想像してしまった彼の裸。



想像だけでも心臓がさらに早く動く。


わ、私はなにを想像して……っ。
これくらいで変な想像するなんて……いつからこんなふうになってしまったのか。

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