月夜に笑った悪魔



「あのさ……昨日は、ごめんね」


思い出したのは、昨夜のことだ。


暗い中、暁に後ろから抱きついてトラウマを思い出させてしまった、あのこと。

私は……まだ謝っていなかった。



「急になんだよ?」
「……あとから芽依に聞いたんだ。暁、暗いところで後ろから抱きつかれるのだめなんだってね……」


「おまえが謝ることじゃねぇだろ」



頭の上に乗せられた大きな手。
その手は優しく頭を撫でてくれる。


「ねぇ、バイクに乗ってる時は大丈夫だった?あと今は……大丈夫?暗いところだけど……無理だったら離れるよ」


バイクの後ろに乗せてもらっていた時、外はもう暗かった。
あの時は大丈夫だったのだろうか、と今更ながら心配してしまう。


それと、私が今抱きついているのは彼の前から。
後ろからではないけど気になって聞いてみると、「へーき」と返される。


「ほんと?」
「あぁ。昨日はびっくりしたけど、おまえならわりとへーきかも」


「そう、なの……?」
「そう」


ぎゅっとさらに強く抱きしめてくれる手。

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