月夜に笑った悪魔
ぱっと顔を上げて暁を見れば、暁の頭はびしょ濡れ。
……なんか、前もこんなことあった気がする。
今日は停電しちゃったから髪を乾かせないのは仕方ないけど。
「せめてちゃんと拭いたほうがいいよ」
絶対ちゃんと拭いていないであろう、その髪。
私が言ってもあまり気にしないから、いったん彼から離れて。
彼の肩にかかっていたタオルをとると、頭を拭いてあげた。
なんか……大型犬のお世話してるみたい。
そんなことを想像してしまって、つい笑いそうになってしまう。
笑いを堪えていると、暁は急に私の両手首をつかんで。
頭を拭いていた手をとめて、首元に急に顔を埋めた。
「ひゃぁっ」
首元に触れる、柔らかい唇。
それから舌を這わせるから、声が漏れて体がビクつく。
これは……私が首が弱いってわかってて、絶対わざとやってる。
……なんで急にこんなことを。
ついさっきまで、ものすごく大事な話してたと思うんだけど!?
もしかして大型犬って思ったのバレた……!?
「ちょっ、ちょっと待って……!」
彼の胸を押せば、顔を上げてくれて。
至近距離で私と目を合わせる。