月夜に笑った悪魔


「芽依は当時の俺と同じ歳の頃に、同じにように……母親を目の前で失ってさ。
そのあと塞ぎ込んだり、泣いたりしてるの見て……あいつの痛みがすげぇわかんだよ。同じ痛みがあるから、放っておけねぇ」


彼の口から出てきたのは、衝撃的な言葉。


暁だけでなく、芽依もそんな辛い思いをしていたなんて……。



『……思い出して眠れないの。一緒に寝てもいい?』

思い出す、昨夜の芽依の言葉。
そう言って彼女は暁の部屋に入っていたっけ。


その“思い出す”っていうのは……もしかして、母親を殺された時のこと?


……暁は芽依の痛みがよくわかるから、芽依を拒否しなかったのか。



「あと正直に言えば、おまえに嫉妬させたかったって気持ちもある。必要以上にくっついてたのはまじで悪かった」


彼はつないだ手をさらに強く握る。




……そんな気持ちも含まれていたのか。
私は……まんまとはまったというわけ。

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