月夜に笑った悪魔


やっぱり、悪魔のような姿。


怖い、けど……一刻も早くとめないと!!




「暁……!!もう終わったから!!もういいよ!!」


彼に向かって大きな声を出すが、私の声は届かない。


すぐに彼のもとへと駆け寄って、今度はその背中に抱きついた。


「暁ってば……!!もういいって!!」





大きな声を出して強く抱きつく、けれど……。



だめだ。
全くとまらない。



私は、自分のポケットの中へと手を入れた。



ポケットに入っているのは、とあるケース。
そのケースの中に入っているのは……麻酔の注射器。


これは以前、吉さんから受け取ったもの。


暁が月城岳たちを殺すと言ってとまらないなら、これを使って強制的に眠らせよう……と考えてポケットに入れておいたんだ。

< 528 / 615 >

この作品をシェア

pagetop