月夜に笑った悪魔
その後ろには、もう1人の黒服姿の男性と紫乃。
紫乃の頭に突きつけられていたのは、拳銃で。
その2人のさらに後ろには、顔色を悪くした未玖ちゃんと巧くん。
……この男性たちは、一条組ではない。
月城組だ。
こうして紫乃に拳銃を突きつけているということは……紫乃に助けられたことがバレた、のか。
「マジでいたか」
黒服姿の男性は後ろにいた私と暁を見ると、にやりと笑う。
心臓が嫌な音を立て、早く動き出すのがわかった。
……やばい。
……ど、どうすれば。
男性は車に乗り込んできて、こっちに伸ばす手。
少しも動かない体。
ただ固まっていれば……私の体は強い力で後ろに引っ張られ。
大きな体に抱きとめられると、後ろから手が伸びて。
「──死にたくなかったら美鈴に触るんじゃねぇ」
耳元でする低い声。
後ろから伸びている手に握られているのは、拳銃。
その拳銃は、黒服姿の男性の頭に突きつけられていた。