月夜に笑った悪魔


ここのクラブで、違法なクスリをこっそり売買している人がいる、という噂があるらしい。


ヤクザというのはどんな悪事もしていそうなイメージだけど、一条組はクスリに手をつけることは一切禁止しているんだとか。


ここのクラブがあるところは、一条組のシマ。

一条組がそれを放っておくことはできないから、すぐに動くことになった。




私のシゴトは、そのクスリを販売している人を見つけること。
一条組の組員が動いているとわかったら逃げられてしまう可能性があるから、私が潜入捜査を任された。



私は、一条組に来てまだそんなに月日はたっていない。
顔はまだバレていないと思うけど、念には念をということで別人のような格好をしている。


久しぶりの濃いめのメイク。
髪型は、きれいに巻いてセンター分けに。


服は、用意されていたボディラインのはっきり出るミニワンピース。
イヤリングも、ペンダントも、靴も、ぜんぶ用意されていたもの。


着替えた私を見た暁には、別人だな、なんて笑われたっけ。


……まぁ、確かにほぼ別人だけど。

< 69 / 615 >

この作品をシェア

pagetop