月夜に笑った悪魔


これできっとバレない。



私は、持ってきているミニショルダーバッグをぎゅっと強く握った。



このバッグの中には、盗聴器とGPSが入ってる。
これは、暁と吉さんがこっちの音声を聞いて現在地を把握するため。


クスリを販売している人が実物のクスリを出してきたら、2人が来てその人を現行犯で捕まえてくれる予定。


その前に、私に万が一のことがあったら助けてくれることになっているから……大丈夫。






一条組にはたくさんお世話になっているから、少しでも恩を返せるように頑張ろう。




──とは思っても、私はまずどこに行けばいいのか。
誰かに聞き込みとかしてもいいもの?
それとも、大人しくまわりの観察でもしてる?



いろいろ考えていればまわりの邪魔になってしまって、カウンターの端のほうにいったん避難。



まず、作戦を考えよう。
自分がなにをすれば1番いいのか考えるが、頭の中にガンガン響く音楽が邪魔をする。




……うるさい。
みんなよく平気だな……。




「おねーさん、1人?」


近くで声が聞こえてきて、顔を覗き込まれた。
私の視界にうつったのは、ゴツめのリングを指にはめた、ド派手な金髪の若い男性。

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