月夜に笑った悪魔
急に声をかけられるものだからびっくり。
とりあえず、ここに馴染むために話そう。
「う、うん!1人だよ!」
私はすぐに返事をしたが、気になったことが……。
気のせいか、この目の前の男をどこかで見たことがあるような気がしたんだ。
男性の、特徴的な目元にあるほくろ。
声も聞いたことがある気がして……もしかして、と思った時に先に口を開いたのは男性のほうだった。
「ん?もしかして、すず?」
その声に、確信に変わる。
「はやと!?」
「やっぱ、すずじゃん!久しぶりだな!?」
まさか、ここで再会するなんて。
“はやと”というこの男は、私の昔の知り合い。
中学生の頃、叔父から逃げるように夜中外出していた時に、出会ったんだ。
夜中に外出して、はじめて声をかけてくれた人。
当時お気に入りだった公園にいた私に話しかけてくれて、一緒に遊んだり、話したり、仲良くしてくれた。
明るい性格の彼には歳が近い知り合いもいて、よくその人たちとバカやるところを見たりもしたっけ。