月夜に笑った悪魔


結局、作戦もなにも考えてないし……どこへ行こう。
やっぱり見た目が怪しそうな人に自分から声をかけていくべきかなぁ……。



そう思って立ちどまっていれば、急に手をつかまれた。


その手を強くひかれて、引き寄せられ……。




「浮気はすんなよ」



耳元で聞こえてきた、暁の声。


心臓がドキリとする。
急に、耳元で話すから……。



っていうかなにさ、浮気って!



彼は私の胸元まである髪に触れて、後ろ髪にシュッとなにかを吹きかけた。


「ちょっ、なにして……っ!?」


彼が手に持っていたのは、小さな小瓶のようなもの。


私を包むように強く香ってくるのは、甘いいい匂い。
いつもの、暁の匂いだ。


これはもしかして……香水!?
私につけた!?
な、なんで、これを!?




「頑張れよ」


頬に触れたのは、柔らかい感触。
彼は、私の頬にキスをひとつするとすぐに離れて去っていった。



な、な、な、なにを!?
こんなところで……っ! ?
今の見られて目立ったらどうするの!?


ドキドキしながらすぐにまわりを見たが……ぜんぜん大丈夫そうだった。

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