月夜に笑った悪魔


音楽にあわせて踊っていたり、男女が密着していたり、キスしていたり……。
みんな、それぞれのことに夢中。



……ふ、普通にキスしてる人いる!



私は慌てて目を逸らして、ほかのところを見た。




そうした時にたまたま見えたのは……──カウンターの下で、こっそりなにかを渡している男性2人。


高そうなスーツに身を包んだ小太りの男性がなにかを渡して、メガネをかけた若い男性がそれを受け取る。
そのあとは、2人ともまわりを少し気にしている様子。







……これは、いかにも怪しい。
……あの人なんじゃ?


怪しいと思った私は、いったん目線を逸らして。
あの小太りの男性が1人になった時に、接触することを決めた。


それまでは、この場の空気に溶け込むために踊っている人たちに紛れて、適当にジャンプしていた。

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