月夜に笑った悪魔


ふかふかなソファ。
これは絶対に高級なもの。


なんて思っていると、私の隣に腰をおろした男性。
あと3つもソファが空いてるのに、わざわざ隣に座ってきてびっくり。





……だ、大丈夫、大丈夫。
私になにか危険がありそうな時にはこの盗聴器で聞いてる2人が助けてくれる……──。


ん?
あれ……え!?



私は、左右の手をよく見た。
けれど……私は、現在なにも持っていない。

……ショルダーバッグが、消えた。




なんで!?
いつから持ってなかった!?



すぐに脳をフル回転させて、思い出す。


ここの会場に入った時は、確実に持ってた。
はやとに会った時もあったような……?あれ、でも、暁と接触した時はあった?あのあとジャンプしてた時は、なんか……身軽だったような?






やばいやばいやばい!
あれがないと、こっちの様子なんて2人に伝わらないよ!
もしなにかあった時に助けてもらえない……!




「あ、あの──」
「きみは、気持ちいいことが好きなの……?」


ショルダーバッグを取りに行こうと声を出せば、その声は遮られた。

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