月夜に笑った悪魔
「お金はいらないよ……きみには特別にタダであげる。だからさ……1回だけ、してもいいかな?」
鼻息を荒くして、私を見つめてくる男性。
……かなり身の危険を感じた。
な、なんだ、この手は。
タダであげるからしてもいい?、ってなにさ!?
……も、もう逃げてもいい!?
でも、ここで逃げると怪しまれそうで強引なことはできないし……。
なんとかあっちに戻って、ショルダーバッグを探さなくちゃ……!
「……な、なにをするんですか?」
なんとなく予想はついてしまうけど、わざとわからないフリ。
「2人でする、気持ちいいことだよ……。やっぱり、きみ1人で気持ちよくなるのはずるいと思うんだよねぇ……」
男性は答えると、私の太腿に手を添えた。
優しく撫でてくるから鳥肌がたち、体が凍ったように動かなくなる。
……や、や、やばい。
本当の本当にやばい。
その気になってる……!