トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜
流奈の目を潤んでいるようにも見えた。
大切な人がいた……
気にならなかったかと言われたらそれは嘘だった、けど聞き返すことなんて出来なかった。
今聞いてはいけない気もしたんだ。
それを物語ったあの力強く感じた手の感触はまだじんわりとしている感じがする。
「私たち...頑張ってるんだね!」
「うん」
流奈の瞳にはやっぱり、涙が溜まってるように見えたけど、また気づかないフリをした。
何を抱えてるか分からない けど強く気張ってる彼女の気持ちが痛いほどわかる
流奈が握ってくれてる手はとても華奢で小さな手はひんやりと冷たかった。
仮面を外した幼い素顔の二人は、親にも上手に甘えられず、無理に背伸びして大人の仲間入りをしていた気でいた。
何が起きても動じないと思っていたけど、私たちは本当はまだまだ子供で怖い時は震えてしまい、それを他のことで一生懸命穴埋めをする。
そんなに強くないのだ
それでも強く生きていかなければならなかった。
この世界で生きぬいていくために自分を押し殺して……。
誰にも言えてない叔父との過去は話せなかったが、涙を流し心が浄化されたようにスッキリしていた。