トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜


それから、流奈はバイトや土方の仕事を辞めて、自分の実家にいるようになっていた。

もちろん両親には大激怒され、父親には中絶を進められたと聞いた。

そんなこと聞かされても、自分の意見を曲げるような人間じゃないことも知っていたし、流奈の母親はきっと理解してくれる人だろうと、話を聞いて思っていた。

そんな中、妊娠生活は順調にいっているようで私はとても安心していた。


束縛が異常なほど酷い雄也くんとは聞いていたから私からは極力会う誘いはしなかった。
もちろん相手は妊婦さんだし、何かあったら困るし、そんなことを考えていると、やはり安易には誘えない。


それでも、時より雄也くんの許可が出た時に流奈の地元へ行きお茶をして帰る

すごく短い時間でも、2人が過ごせる時間はいつも通り笑いっぱなしで楽しかった。


不思議だった、同じ年で16歳だというのに、日に日に大きくなっていく流奈のお腹と共に色々な変化を感じていく。

「見て〜まんまるでしょ?このお腹の中に赤ちゃんがいるなんて本当凄いよね!!」と言いながら大きなお腹をさすっている流奈。

あんなに鋭かった目は、果たしてどこに行ってしまったのだろうか。

とても穏やかな表情になっていた。

そして金髪だった髪の毛は今じゃ地毛の黒髪が伸びてきて色が二層になりまるでプリンの色味だった。


どうやら妊娠中に髪を染めるのは母体の赤ちゃんにとってはあまり良くないと母親に言われたみたいで、それをきっちり守っていたんだ。


16歳の女の子は一生懸命にお腹の子を守っていたんだ……


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