トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜
どのくらいその場に独りでいただろうか……
気が付けば、雨は上がっていて、流奈の言う通り再び綺麗な星空が私を迎えていてくれた。
もうこれ以上、なにも考えたくない....
そう思いながら、再び携帯の電源を入れなおすと、通話ボタンを押していた。
「おお~!!久しぶりじゃんよ~どしたの奈月?」
「弥生先輩、今どこですか?」
「今?あと少ししたら出かけることろだけど…」
逃げていたんだ……現実から。
全てを受け止めるほど、私の肝は座っていないし、かと言って全て目を瞑って生きていくほど強くもない。
「とりあえず来なよ」その弥生先輩の言葉に救われて、私は家へと向かった。
手ぶらででてきた私は化粧をさせてもらい、服を借りて、私は先輩たちと大音量の場所へ向かった。
全てを忘れさせてくれるような異次元なその空間を私は好んでいる。
ここに来るのはまだ4度目。
中学のとき家出した時に、初めて先輩に連れてきてもらったクラブだった。
なんとも言えない空間で私を刺激させてくれる
この大音量の世界にいると、私も周りの人たちと一体化している気分になって、周りの人たちと同じだって自分を許せてしまうのだ。
「奈月久々じゃんよ〜何してたのよ最近?」
「バイトが忙しくて」
「あー遠い高校にしたんだもんね」
「はい。」
久しぶりに会った弥生先輩たちと話しながら私はクラブの中で入っていった。
知り合いが働いてる店らしく前回と同様顔パスで入っている弥生先輩をかっこいいと思ってしまう。
この日の曲はヒップホップやR&B。
久々のクラブは最高に心地よくて、
余計な事を考えられないほどに爆音が響き渡り全てを忘れさせてくれた。
大好きな音楽に浸っている時間がほっと出来る唯一の時間でもある。
ほんの一瞬でもいいからただ無になりたかった。
みんなと踊り、人間観察をして楽しんで
大騒ぎして色んな人と出会いながら朝を迎える
そんな風に遊んだときこそ、家に着くと何も考えずにグッスリと眠れた。
ベッドの上で寝れないと思いながら過ごすより、クラブへ行き少し救われた気分になって行った。
私がまた変わり果てるのに、もう時間なんて必要なかった。