トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜
ずっと流奈からの連絡を無視し続けていた
メールが受信されても電話の着信が残されていても、私は返したりしなかったのだ。
声を聞いてしまったらきっと私の決心は崩れ去り、再び地元に戻り奈月として生きていくだろう。
でもそれはもう限界だったのだ。
最近は少しだけ流奈からのメールも電話も途絶えていて、いい加減、流奈も愛想尽かして呆れて縁を切られると思っていた。
だから私は密かに流奈の幸せを願っていた。
なのに流奈はこうしてまた私に連絡をし続けてくれている
一方的に距離を置いて、無視し続けて……
きっと最低な私を怒っているだろうし、今更なんて返事を返したらいいのか
どこから話せば、どんな順序で説明したら今の私の生活を今の私の心を理解してもらえるのだろうか。
着せられているような高級なスーツ
胸元が空きすぎている体の線がくっきりと出てしまうタイトなドレス
香水をふんだんに使って今にも折れてしまいそうなピンヒール
10代の私には似合わないような
キラキラしたジュエリーや高級時計
心をどこかに落としてしまったロウ人形みたいな私は受け入れてもらえるのか
怖かった、きっと流奈はこんな私を酷く怒るに違わない
目から溢れ出て来る涙を拭い、携帯の画面に落ちている涙を拭きとるとその瞬間着信が鳴り響き、私はびっくりして思わず携帯を落としてしまった。
慌ててそれを拾い、画面を確認すると私の手が一瞬で震えだす
そこには"流奈"という文字が私に飛び込んできて大きく深呼吸しては息を呑んだ。