トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜
「けどさ。無事に生きてて本当に良かった」
そう流奈が吐き出した言葉は、ちゃんと耳を澄ませていなければ聞こえてこないような小さな声で……
震えていた……。
自分の予想を遥かに超えた流奈の返してきた言葉に、戸惑いながらも、もう滝のように涙が溢れだし止まらない。
もう声にはならなかった。
ただその流奈の言葉にコクンと下に頷くことが精いっぱいだった
「本当……心配してたんだよ。」
私は、怒られたのにも関わらず不思議とまた懐かしく温かい気持ちになっていた。
「これからは、もう無視しないで、ちゃんと居場所教えて」
「うん。約束する」
流奈のいつもの鼻のかかった優しい声に戻り安心した。
家族よりも心配してくれてる流奈
いつまでも私を待っていてくれてた流奈は私にとってはスーパーマンのようだった。
「あのさ……愛に会いに行ってもいい?」
重たい空気を感じながらも、どうしてもあの時、愛に会いに行けなかったことが気がかりで流奈に申し訳なさそうに尋ねる。
「当たり前じゃん!」
「じゃあぶっ飛ばしていいから、許してくれる?」
「思い切りやるよ?いい?」
私は腹をくくり、自分から言ったくせにいざ言われると即答出来ずにいた。
「て、あのさ~もう私は愛のママになったんだからそんな事するか!」
「流奈ならやりかねないかなって」
「おい!それはないよ~この不良娘っ!!!」
さっきの重い空気がまるで嘘だったかのように、いつもと同じようにふざけ合って笑っていた。
きっと二人とも同じように泣きながら、笑顔になっていた。
流奈は私に今日まで何をしていたのか
どんな生活を送っているのか
そんなこと何も問うことはしなかった。
そう、これが流奈。
それも分かっている、だからこそくすぐったい。