トルコキキョウ 〜奈月と流奈を繋ぐ花〜
投薬のおかげで不眠や過呼吸も減り生活が安定したところに、友達の知り合いで現れた男性と少しづつ距離を縮めていた。
私は初めて会った日、隣に座っていたその男性の名前を間違えて呼んでしまった。
「陽平」と思わず呼んでしまったが彼の名前は「康平 こうへい」であった。
「もう間違えないように、こうちゃんて呼んで」と念を押されたが「ちゃんって女じゃないんだから...」とサラリと答えると、
「男でもいいじゃん!」と、ムキになって肩を揺さぶられたりした始末で……
だけど私は初対面でも砕けた会話に自然と笑っていたんだ。
ひょんな事から会話は弾み、意気投合
それから私は彼のことをもちろん"こうちゃん"とは呼ばず"康平"と呼び、2人で食事をする位まで距離が縮まった頃「奈月付き合って!」と告白された。
しかし素直に喜べなかった
「あぁ、ごめん。私彼氏は当分いらないなって思ってる」
もう自分の安心や寂しさを埋めるための彼氏を作りたくはなかった。
相手を傷つけるだけじゃない、自分も傷ついてしまうことを知ってしまったのだからーーー。