愛は惜しみなく与う②


「でかい声出すなや!せっかく寝たのに!起きるやろ!」

と、杏が大きな声を出す

うん。元気そうでよかった


「杏、ありがとう、親父の面倒見てくれて」

「あ!!泉!!」


俺の顔を見て、杏は笑顔になってくれた。
幸せに浸ってる余裕はないけど、少しだけ…


「ん…ゴトウか?」

親父!


「組長。お身体は?薬は飲まれました?」

「あぁ…でも胃が痛む…」

「あ、ごめんやけど救急車呼んだし。緊急やったし……ゴタゴタも落ち着いたか?」


杏は心配そうに俺を見た


「うん。ごめんな。怪我ないか?」

「あたしは大丈夫!こっちは最初からボロボロやったけど」

杏は親父を顎でさしてそう言う
ゴトウは少しそのやりとりをヒヤヒヤした表情で見ていた


「いくら坊ちゃんのガールフレンドでも組長に無礼なのはいけません」

「うっさい!あたしも疲れてんねん!」

ガルルルルとでも言ってる勢いで、杏はゴトウに噛み付く


なんだろう



ずっと帰らなかった家に杏がいる


それだけでもおかしな光景なのに
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