エリート御曹司と愛され束縛同居
今夜、副社長は接待の予定があるため、またひとり帰路についた。

逃げずに話をしなくてはと思うのに考えれば考えるほどタイミングが合っていない気がする。

しかも遥さんは明日の夜から六日間アメリカに出張予定だ。

兄が圭太に見当違いの怒りの矛先をむけていないか心配で何度か電話やメールをしているのだが、連絡がつかない。

アメリカで必ずふたりは会うだろうし、遥さんに事情を話していない今の状況は非常にまずい。

ふたりが会う前にきちんと圭太に話も聞きたいのだが上手くいかず、溜め息ばかりを吐いている。


現在、ヘリコプターの観光事業で反対意見を持っていた住民の方々が植戸様の口添えもあり少しずつ理解を示してくれるようになった。

そんな大切な時期に私的な問題で煩わせるわけにはいかない。

ただ一緒にいたい、それではダメなのだろうか。

恋心を少しずつ育んでそれから未来の話を共に過ごす時間の中でしたいと思うのは間違っているのだろうか。

時間の速さが学生の頃とは違う流れと重みになっているのを否応がなく感じるのはこんな時だ。

兄の言い分はわかるが、私には私の気持ちだってあるし、遥さんには遥さんの考え方がある。

誰かに強要されて無理やり考えても纏まらない。

遥さんが大事、その気持ちは揺るがない。

けれど大企業の御曹司の伴侶として将来を歩んでいく未来も覚悟もまだできていない。

これから先の未来を、一生を今すぐには決められない、せめて一カ月以内に決めて挨拶に、という部分だけでも兄には考え直してもらいたい。
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