エリート御曹司と愛され束縛同居
遥さんが不在の毎日は想像以上に寂しく、存在感の大きさを今さらながら痛感した。

帰宅時間がどれだけ遅くても帰ってきてくれるだけで毎日どれほど安心していたのかを思い知らされた。


『澪』


ただ名前を呼ばれるだけでどれほど心が満たされていたのか、嫌というほど知らされた。

一日が終わるのが遅く、時間がスローモーションのように過ぎている気がしていた。


「岩瀬さん、溜め息吐きすぎよ」

「……申し訳ありません」

「副社長が心配? 大丈夫よ、無事に現地に到着して精力的に取引先とも交渉しているって報告があったから」

津守さんがパソコンで書類を作成しつつ軽やかに言う。

心配かと言われたら心配だがそれだけではなく、傍にいないという事実がこたえていた。

帰国は明日の朝だと言うのに持ちこたえられるだろうか。

考えてみれば恋人になってからこれほど長い時間、顔を合わせなかった日はない。

一緒に暮らす意味を、毎日会える幸せを、改めて考えてしまう。

時差もあり、電話で会話もほぼできていない。昨夜遅くにやっと話した時には、声が聞ける、名前が呼ばれる、ただそれだけで胸がいっぱいになって話したい事柄をろくに口にできなかった。

「まあ、向こうも色々限界だと思うけど? なんていったって仕事中も四六時中、あなたを見つめている人だからね」

クスクス声を漏らしながら言われて思わず瞬きをする。
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