エリート御曹司と愛され束縛同居
一日の業務を終え、仕事の目途をつけてから帰ると言う津守さんに挨拶をして秘書課を後にした。
ロビーには退勤する社員が数人歩いていた。エントランスを抜けて外に出ると肌寒い風が吹きつけ、咄嗟にベージュのトレンチコートの襟もとを掻き合わせた。
カツン、とヒール音を響かせて一歩踏み出した時、聞き覚えのある声に呼び止められた。
「岩瀬さん」
振り返ると、グレーの白い襟付きの品の良いワンピース姿の桃子さんが佇んでいた。
「……植戸、様」
思いがけない人の姿に驚き、掠れた声が出た。
なぜここに桃子さんが?
「突然伺ってごめんなさい。どうしてもお話したくて」
あどけなさの残る目に真っ直ぐ見つめられる。
「……副社長でしたら現在出張中ですが……」
「存じています。今日は岩瀬さんに会いに来たんです」
しっかりと言い切られて返す言葉を失う。
なんのために、と口の中で呟いた問いかけは外に出せない。
「お忙しいとも不躾だとも理解しています。少しだけお付き合い願えませんか」
丁寧な言い方なのに断る余地のなさを感じる。
私たちの脇を通りすぎる社員たちがチラホラと無遠慮な視線を投げかけていく。
この場所は人目につきすぎる。彼女も私と同じ考えだったのか、おずおずと切り出した。
「今日は車で来ておりますのでよかったら車中で話を聞いていただけませんか?」
ロビーには退勤する社員が数人歩いていた。エントランスを抜けて外に出ると肌寒い風が吹きつけ、咄嗟にベージュのトレンチコートの襟もとを掻き合わせた。
カツン、とヒール音を響かせて一歩踏み出した時、聞き覚えのある声に呼び止められた。
「岩瀬さん」
振り返ると、グレーの白い襟付きの品の良いワンピース姿の桃子さんが佇んでいた。
「……植戸、様」
思いがけない人の姿に驚き、掠れた声が出た。
なぜここに桃子さんが?
「突然伺ってごめんなさい。どうしてもお話したくて」
あどけなさの残る目に真っ直ぐ見つめられる。
「……副社長でしたら現在出張中ですが……」
「存じています。今日は岩瀬さんに会いに来たんです」
しっかりと言い切られて返す言葉を失う。
なんのために、と口の中で呟いた問いかけは外に出せない。
「お忙しいとも不躾だとも理解しています。少しだけお付き合い願えませんか」
丁寧な言い方なのに断る余地のなさを感じる。
私たちの脇を通りすぎる社員たちがチラホラと無遠慮な視線を投げかけていく。
この場所は人目につきすぎる。彼女も私と同じ考えだったのか、おずおずと切り出した。
「今日は車で来ておりますのでよかったら車中で話を聞いていただけませんか?」