エリート御曹司と愛され束縛同居
「初めてお会いした日からずっと惹かれていました。何度もおじい様に縁談の申し入れをお願いして、やっと了承してくださったのが先日なんです」

そう言って私を見つめる目は涙で潤んでいた。

「あの方とならこれから先の人生を幸せに暮らしていけると思って……勝手な話をしていると理解しています。ですが考えていただけないですか?」


 ……なにを? 


伝えられた内容が頭の中を素通りしていく。

真っ直ぐな感情の裏に透けて見える我儘にも似た強引さ。

恋は人を変える。

想いが強ければ強いほど、手に入れたいと願えば願うほど。

なりふりなんて構っていられない、その想いは痛いほどわかるが、これはあまりに当人の気持ちを無視したものではないだろうか。

「……それは別れてほしいという意味ですか?」

確認するかのように吐き出した声に力はなかった。

ハッとしたように瞬きをして悲しそうな表情を見せる。

本来ならこの場で私が見せるべき表情のはずなのに。

後輩とはまた違う、庇護欲をそそる可愛いらしさと素直さは私にはないものだ。

「……岩瀬さんは大人の女性ですし、しっかりされているから素敵な方が見つかると思います。でも私にはあの方しかいないんです。祖父や親族が認めて、しかも惹かれる方は……」

ますます言われている意味がわからなくなる。


大人の女性? しっかりしている?
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