エリート御曹司と愛され束縛同居
結果として、澪には過去に恋人はいたが長続きはしなかった。


アイツが心から好きになった相手なら俺が反対する理由はない。

もちろんアイツを苦しめるようなら大反対するが。

どうやら澪は恋愛事にはてんで疎くて、変なところで頑固で現実主義だった。


お互いに就職した頃には、秘密裏に両親たちが俺たちを結婚させようと目論みだして俺は呆れかえっていた。


そんな澪が初めて本気で恋した相手は俺の大学時代の先輩で、勤務先の副社長だった。

言わずと知れた九重グループ御曹司、遥さん。

同性の俺から見ても完璧な容貌に優秀すぎる頭脳と経営手腕をもつ人物。

羨ましさを通り越して尊敬の気持ちさえ抱く人だ。

親同士が友人だった縁もあり、知り合った遥さんは、その近寄りがたさからは想像できないくらいに面倒見のいい人だった。

どこかの幼馴染みを彷彿とさせるくらいに。


まだまだ社会人としては半人前のくせに強がる、俺のくだらないプライドを見透かしていたこの人こそ、大人の男だった。

曲がりなりにも実家の後継者として悩む俺の相談にも親身に乗ってくれた。
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