エリート御曹司と愛され束縛同居
喉の渇きを覚えて薄っすらと目を開けた。

焦点の定まらない目に飛び込んでくるのは見慣れた私の部屋の天井。

そして横たわっている場所は私のベッドだ。

部屋の中は薄暗く、カーテンの隙間から漏れる光は仄暗い。まだ朝ではないようだ。


私、夢でも見てた? 遥さんと会話をしていたような気がするんだけど……。


身体を起こそうとした途端、ズキリと頭が痛み、起き上がった瞬間の自分の服装を目にしてはっきりとこれまでの出来事を思い出した。

確か歓迎会で……緊張して……勧められるままお酒を飲んで、連れて帰ってもらって……その先の記憶がない。そもそもいつ車を降りたのだろう。

考えられる事態にサーッと血の気がひいていく。背筋に嫌な汗がつたう。


まさか、とんでもない失態をしたのでは……!


私はジャケットこそ着ていないが、出勤時と変わらない服装をしている。

慌ててベッドから降りようとした途端、足がもつれてどさっと尻餅をついてしまった。


「澪、どうした?」


近くにいたのか、音を聞きつけたらしい遥さんが室内に入ってきた。

照明がついて部屋の中が瞬時に明るくなる。

「だ、大丈夫です。あ、あの私、その」

床の上に蹲ったままの無様な姿で必死に返事をする。恥ずかしさと情けなさでどんな顔をしていいかわからない。
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