クールな次期社長の溺愛は、新妻限定です
「本当にね。でもおかげでしっかり勉強できたから、なんだか大学生って感じかな」

「谷川って本当にプラス思考というか前向きだよな」

 言い方が妙に呆れているので、私は思わず聞き返した。

「えっと、ありがとうでいいのかな?」

「いいんじゃない? グループでギスギスしたときも谷川の提案やフォローに救われたりもしたし」

 それは大袈裟(おおげさ)にほめ過ぎだと思う。そう指摘する前に北村くんから話が振られた。

「そういや谷川って、前に海中水族館に行きたいって話してなかった?」

「え? あ、うん。よく覚えてたね」

 たしかグループ課題に取り組んでいる途中、これが終わって夏休みにどこに行きたいかという話になったのを思い出す。

 近隣のおおよその水族館をチェックしている私は、海中水族館を挙げた。海中水族館は大学のある市街地からは少し離れた海沿いの場所に建っているので、行くなら一日仕事になる。

 一番の目玉は海の中に設置されたガラス張りのスペースで、そのままの海を楽しめる仕組みになっているという。

 是非行ってみたい。その話をしたとき、地元出身の友人にも『あそこいいよ』と勧められて、行きたい思いは募っている。

「よかったら、一緒に行かないか? 俺、車持ってるから、乗せてくし」

 北村くんからの思わぬ提案に私は目を丸くして彼との距離を縮めた。
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