クールな次期社長の溺愛は、新妻限定です
「あいつの誘いは喜んで受けて、俺の誘いは全力で拒否するわけだ」

 彼の顔は笑っているのに、目はまったく笑っていない。なんだか私が悪いことをしているみたいだ。おかげで続ける言葉もどうも歯切れが悪くなる。

「だって条件が違いすぎますし。それに、その……付き合っているならまだしも、ふたりで遠出するのはどうかと……」

 最後は消え入りそうな声になり、すぐに後悔する。こういう固すぎる考えはよくないと友達にも何度かたしなめられた。

 潔癖というわけでもないし、男女の友情を否定するつもりもない。お互いに恋人がいないなら異性同士で出かけても問題はないはずだ。

 でもいざ自分ができるのかといえば、私はそういうのに抵抗があった。こんなのだから今まで男女交際をした経験もない。

 彼も深い意味なんておそらくない。おそらくこうやって気軽にほかの女子も誘ったりするんだ。そう思うと、自意識過剰な自分が恥ずかしくなる。

 フォローの言葉を探していると、相手が不意を突いてきた。

「付き合ってたらふたりで行くのか?」

 まさかの切り返しに私は目をぱちくりとさせる。

「え、まぁ。たとえばの話ですけど」

「わかった。なら付き合おう」

 間を空けず、さらには迷いなど微塵もない言い方だった。まっすぐさが逆に受け取れず、私の思考が追いつかない。
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