クールな次期社長の溺愛は、新妻限定です
 亮は今、どんな表情をしているんだろう。なにを考えているの?

 顔を上げようと試みると、そのタイミングでベッドに丁寧に下ろされた。背中に柔らかい感触があり、急に視界が開ける。

 グレーの高い天井が目に入ったかと思えば、亮が私に覆いかぶさってきた。

「汐里」

 切なげな瞳と声に戸惑いが隠せない。薄暗い部屋でも、相手の顔はしっかりと見える。目を見開いたまま固まっていると、そっと口づけが落とされた。

 それは始まりの合図で、うっすらと唇の力を緩めると口づけはすぐに深いものになった。

「んっ」

 キスの合間に亮の手が私の耳に触れる。避けようにも体勢的に難しく、されるがままだ。

 声をあげたくてもキスで封じ込められ、次第に彼の指は耳から顔の輪郭をなぞって徐々に下りていく。そして一番上のパジャマのボタンにたどり着くと、器用に脱がしにかかった。

 (あらが)うつもりは毛頭ない。ここは彼に身を委ねて溺れるのが正解だ。けれどそのとき鋭い痛みが頭に走り、私はつい顔をしかめた。

「汐里?」

 私の異変に気づいた亮が口づけを中断させ、まじまじと私を見つめる。息をかすかに乱して、艶っぽい亮の表情はなんとも言えない。

 すっかり息があがってしまった私は、呼吸を整えようと必死に空気を肺に送り込む。一方で、ズキズキと頭を襲う痛みは消えない。

 なんとか誤魔化そうと言葉を探していると、亮の大きな手が額に乗せられた。
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