クールな次期社長の溺愛は、新妻限定です
「もしかして、また調子が悪いのか?」

 あっさりと図星を指され、私は言い訳せねばと躍起(やっき)になる。

「平気。いつもの偏頭痛で薬も飲んだから」

 間違えた。語るに落ちるとはまさにこのことで、後悔してももう遅い。案の定、亮は少しだけ怒った顔になった。

「そういう問題じゃないだろ」

「でも……」

 亮は自分ではずした私のパジャマのボタンを今度は律儀に留めていく。そして体を起こしベッドから下りた。さっきまでお互いに纏っていた熱が逃げていく。

 残ったのは罪悪感にも似た居た堪れなさで、続けようと提案するにも頭の痛みも取れない。こういうとき、どうすればいいんだろう。

 私もゆっくりと上半身を起こす。亮は部屋の空調か照明かなにかをリモコンで操作していた。

「あの、私……」

 声をかければ亮が振り向く。なにか言わないと、と気持ちだけ(はや)るのに、実際はなんて言えばいいのか言葉が見つからない。頭よりも胸の方が痛くなる。

「汐里」

 彼は腰を屈めて、ベッドに座り込む私と目線を合わせる。そして私の頭に手を伸ばし、おもむろに口を開いた。

「俺は、汐里が想像するよりもずっと汐里を大事に思っているんだ。大切にしたいし、それこそ無理させて、また失ったら洒落にならない」

 亮の手が私の頭から髪を慈しむように撫でる。それだけで気持ちが落ち着いていく。
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