あやかしの集う和菓子屋にようこそ
「申し訳ありません。本日はもう閉店いたしまして……」

私がそう言うと、女性は「来たくてこんな店、来たわけじゃないわ」と冷たく言います。私は「は、はあ……」と言いながら、痛む胸を押さえました。蒼樹さんの大切なお店です。そんな風に言われると、心は痛んでしまいます。

「あなた、宮野葉月ね?」

女性は葉月さんをジロジロ見ながら言いました。

「そうですが、何か?と言うか、なぜあなたが俺の名前を知っているんですか?」

嫌そうに顔をしかめる葉月さんを見て、沙月さんが慌てて葉月さんの腕を掴みます。怒らせたら面倒な人、と直感で感じたのでしょうか。

「あなたのことを心霊番組で見たことがあるのよ。除霊のできるイケメン学生ってね。家に幽霊が出るから除霊してちょうだい」

葉月さんは何も言っていないのですが、女性はベラベラと幽霊のことを一方的に話し始めました。

「私の家は名家よ。こんな叩けば埃の出るような和菓子屋のお菓子なんて食べたことがないほど裕福な家だわ」
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