幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。

 そんなの他の人に口出されることじゃない。

「これ、本人のいないところでする話でもないですよね」
「心配だから周りが口出ししたくなるんだよ」
「……私は健一郎がもしそう決めるなら、それでいいです」

 私はそう言ってまっすぐ藤森先生を睨むと、右手を差し出した。

「とにかく、あの写真。出してください全部」
「えぇ」
「本当に私と真壁くんには今なにもないし、健一郎にその写真がもとで余計な心配させたくないんです。判断するのは本人だから、そんなことで揺らいでほしくない」

 今は、それしか私にはできない。
 私がまっすぐ藤森先生を見て言うと、藤森先生は、ふっと一つ息をついた。

「そういうとこなのかもね。いつも自分以外のこと、心配するのクセだろうけど。今は、自分の心配したほうがいいと思うよ?」

 一瞬のスキをついて、藤森先生が、突然私の首筋にかみついた。

「いっ!」

(痛い! 犬か、何すんだ!)
 私は首筋を抑えて、藤森先生を睨む。

「ごめんね。少しわかったよ。うん。知りたかったんだ。どうして健一郎が君を選んだのか」

 ニコニコと笑う藤森先生の真意はつかみかねたのだが、
 どうやら、藤森先生は藤森先生で健一郎のこと心配していることだけはわかった。

「藤森先生も……健一郎のこと、好きなんですね」
「好きか。まぁ、そうかもね」
「でも、こんな方法とらなくてもいいでしょ」

 私は先ほど噛まれた首筋を手で触って、にこりと笑う。そして、拳を構えた。

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