幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
「森下先生―。ほんとあの変態どうにかしてください。変態が加速しているというか……なんていうか……」
私は朝、研究室に行くと、そこでコーヒーを入れていた森下先生に泣きつく。
最近、健一郎はおかしい。今まで以上におかしい。
今までもおかしかったので、今は相当おかしい。前がレベル10だとしたら、今はレベル80はある。
やけに帰りも早くなったし、なんていうか、べたべたとずっと私にくっついてくる。キスも一日に30回以上している。正確には「されて」いる。
本橋研究室にも診察の合間に頻繁に顔を出すし、家では家で、私の好きな料理を調べてはせっせと料理して食べさせてくる。
「いまさらマリッジブルーでもあるまいし。あのストーカーぶりには慣れているでしょう?」
森下先生はさらっと言う。森下先生まであのストーカーぶりに慣れているのはどうかと思う。森下先生の未来が危ぶまれる。もう少し普通の男性を見て、男性を見る目を治療したほうがいい。
「あのストーカーぶりに慣れたくないんです」
なんだかもうあの変態ぶりを発揮する健一郎と並んで結婚式をするというだけで、不安になってくる。
みんなの前で、変なことをしやしないか、ドキドキするのだ。大手を振って、この人が旦那様でーすって言うのが、やっぱりなんていうか、ちょっと……いや、結構恥ずかしい。
考えただけで頭痛がする。こういうとき、身体が糖分を欲している気がする。
私は大学に来る途中のコンビニで見つけた菓子パンを開けて頬張った。まだ始業前だ。
最近、健一郎が作る和食中心の朝食だけでは物足りず、朝に研究室でこっそり菓子パンを食べているのは、森下先生しか知らない秘密だ。
何故、健一郎には言っていないかと言うと、その事実を知ったら、健一郎はきっと次は菓子パンの修行をしておいしい焼き立ての菓子パンを作り上げそうだからだ。それだけは避けたい。これ以上、私のために余計な時間を使ってほしくない。ぜひともそのとびぬけた器用さを医学に役立ててほしい。
「それにしても、よく食べるわねぇ。また太るわよ? ドレスのサイズとかあるでしょうに」
「食べなきゃ、やってられませんよ!」
「まったくもう」