幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。
―――まさかね。まさか……。
さすがにあの健一郎だってこんなこと気づいているはずないよね? っていうか気づいてたら普通は言うはずだしな。
家に帰ると、少しして帰ってきた健一郎から、私は思わず目をそらす。
「三波さん」
「な、なに!」
「何かありました? どこに行ってたんですか? 一人で?」
「仕事で遅くなっただけ」
「本当に?」
私は内心ドキドキしていた。これは、浮気をした夫が妻に不審がられている気持ちに近いように思う。断じて浮気などしていないが。
「いちいち、うるさい!」
「怒る三波さんもかわいいなぁ」
そう言って、健一郎はニヘラと笑う。
どうしよう、やっぱりこの人、日本語が通じない。医者としても研究者としても優秀だと人からは聞くけど、私の言葉は通じないらしい。
っていうか、本当に昔から健一郎って、健一郎だと思う……。
私が怒ろうが、なにしようが、私のことが大好きなのだ。それが揺らぐことは今まで一度もなかった。これからもきっとないだろう……。
(……あれ?)
でも、そうか…。子どもができれば、健一郎の愛情は半分になるのか。
べつにいい。それくらいがちょうどいいのかもしれない。
人によっては、愛情はほとんど子どもに行くとも聞く。私も子どもは楽しみだし、別にいいんだけど。
―――でも、なんだか腑に落ちない。