幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。

 私はじっと健一郎を見る。
 健一郎はにこりと笑うと、ぎゅう、といつものように私を抱きしめた。

「好きですよ、何があってもずっと」
 健一郎は耳元で笑う。私は、意地悪に、
「私が浮気しても?」と聞いてみた。

「とりあえず相手を海に沈めてから、三波さんの心を無理やりにでもこちらに向かせます。そもそも他の男を好きにならせるはずはありませんが」
「こわいって」

 声がマジだ。本当にやりかねない。
 仮想の浮気相手が気の毒でしかたがない。何にしても浮気はしないと心に誓った。

「僕は三波さんのことなら、何でも知ってますから大丈夫ですよ」
 
 健一郎が言う。そうよね……。確かに、何でも知ってるわよね?
 不思議なのよ。私の友達の名前も全部言えるし、連絡先も全部知ってるわね。好きなものも嫌いなものも全部把握しているし、私が見てたテレビはあとで見てたりするわよね……。
 記憶力がいいのはうらやましいけど、その才能の使い方を完全に誤っていると思う。まぁ、医学のためにもその能力は発揮されているみたいだけど。できれば、医学だけにその能力を使ってもらうほうがいいと思うの……。


「体調は大丈夫ですか。今日、気持ち悪くなったっておっしゃってましたよね。ついに、つわりですか……これからはもっと体調管理に気を配りますね」
「……ん?」

 完全に時が止まる。

(この人、今、何言った……?)
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