幼馴染でストーカーな彼と結婚したら。

「はぁ? あなた消化器内科でしょうが!」
「実は消化器内科からは転科可能なんですよ。なんならいっそ、これを機に転科してもかまわないと思っています」
「絶対ダメ! 健一郎なんかに診てほしくないっ!」
「実は三波さんの出産に先立って、今、佐伯医院の産婦人科でも研修を受けていまして」
「……」

 私は今日、検診に立ち会っていた、髪がもじゃもじゃで黒縁眼鏡の医師を思い出す。

(……まさか)


 私は健一郎の肩を持つと、健一郎をガクガクとゆする。

「ねぇ、嘘よね? 嘘って言って! まさか、あれって健一郎じゃないわよね……⁉」

 全く気付かなかった。嘘? ほんと?
 私がつぶやくと、健一郎はにこりと笑う。それは答えがイエスだと物語っていた。

「僕が他の男に三波さんの検診をさせるわけないでしょう」

(だめだ、頭が超絶痛い……)

「僕がサポートできれば、どんな事態でも対応できますから」
「やだ! 絶対いやだ!」

 何考えてんのよ!
 下手に、器用で容量が良くて頭のいい人間だから、なんでもできてしまって困る……!

「こっそり驚かそうと思って準備していました。これが僕からのお祝いです」
「全くお祝いになってない!」

 泣きたい。ってか、もう泣いてる。
 健一郎は、うれし泣きですね、と訳の分からないことを言っている。前向き過ぎるメンタルが少しうらやましい……。
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