俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 このままなにもなければいいんだけれど、源君がおとなしく引き下がるとは思えない。まだ真の目的も達成できていないと思うし。
 考えながら自分の席へ向かっていると、背後から腕を引かれた。

「きゃっ!?」

「ちょっときて」

 いきなり私の腕を掴んだのは細川さんで、秘書課を出ていく。

「ちょっとミーティングが始まるわよ?」

「わかってるけど、あそこじゃ話せないから」

 そう言いながら彼女が私を連れて向かったのは非常階段。当然始業間近のこの時間に使用している人などおらず、シンとしている。

「どうしたの?」

 思った以上に自分の声が響き、小声で「なにかあった?」と尋ねた。

「あったからここにきたのよ。……源君のこと」

 彼の名前にドキッとなる。

「源君がどうしたの?」

 声を潜めると、彼女は神妙な面持ちで言った。

「昨日、社長に先に上がっていいと言われて社長室を出たんだけど、少ししてひとつ伝え忘れたことがあって戻ったのよ。……そうしたらちょうど社長室に入っていく源君を目撃して」

「え……源君?」

「えぇ」
< 118 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop