俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
「人間、腹の内はどうかなんて誰にもわからないでしょ? 源君がいい例じゃない」

 それを言われるとなにも言い返せなくなる。

「とにかく引き続き源君のことは探ってみるわ。それと社長との関係についても。だから木名瀬さんも、最近なにもされていないからって油断しないようにね」

「わかった、ありがとう」

 お礼を言うと細川さんはうれしそうに目を細めた。

「いいわよ、私と木名瀬さんの仲だしね。さ、早く戻りましょう。ミーティングが始まっちゃう」

「……うん」

 源君には怖い思いをさせられたけれど、彼のおかげで細川さんとの距離が縮まったのも事実。
 そんな彼女に迷惑をかける事態にだけは、ならないことを祈るばかりだ。

 ミーティングを終え、副社長室に向かう途中で細川さんから聞いた話を、副社長に伝えるべきか悩む。

 源君が社長室に入ったからといって、その理由はわかっていないし、ただ単に仕事のことで伺っただけかもしれない。あとの話はすべて細川さんの推理なわけだし。

 それに副社長は今忙しい。余計な心配をかけるべきではないよね。またなにか細川さんから聞いたら報告すればいい。
 そう判断して今日の勤務に当たった。
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