俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 まさかの提案に目が丸くなる。すると彼女は神妙な面持ちで言った。

「昨日、あらゆる手を使って源君について探りを入れてみたのよ。そうしたら彼と同期の子から気になることを聞いて」

「なに?」

 気になって前のめりになると、細川さんは周囲に同じ会社の人がいないか確認した。

「イギリス本社に異動した同期と頻繁に連絡を取って、聞いているみたいよ。……副社長のことを」

「副社長のことを?」

 どうして源君が?

「これはあくまで私の考えだけど、源君……もしかしたらあなたの地位を狙っているんじゃないかしら」

「まさか」

 私の地位ってことは、副社長秘書ってことよね? だけどなぜ?

「あり得る話でしょ? だって副社長は今後、世界中にあるホテル経営のトップに立つのよ? そんな彼の秘書ってだけで、出世コースじゃない。言っておくけどあなたはまさにそのコースを進んでいるのよ? ニューヨーク本社の、しかもトップの秘書を務め、こっちではご子息の秘書に抜擢されたんだから。それだけで妬まれる原因が大いにあることを自覚するべきよ」

 ふん!と鼻を鳴らし、細川さんはアイスティーを半分以上飲み干した。
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