俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 私はただ、自分に与えられた仕事を精いっぱい務めてきただけど、そっか。よく考えれば細川さんの言う通りよね。

 誰だって社長や副社長の秘書になれるわけではないんだ。私はすごく恵まれた環境の中で仕事をさせてもらえているんだ。
 本当、なおさら仕事中にうつつを抜かしている場合じゃない。

 自分の立場を再認識していると、細川さんは声を潜めた。

「それと噂があまりに大きくなっているのも気になっているのよ。……これも私の憶測でしかないけど、もしかしたら噂を広めたのは源君かもしれないわよ?」

 びっくりし過ぎて声が出ない。だってまさか源君が噂を流しただなんて――。そんなことあり得ない。……ううん、信じたくない。
 なのに細川さんは持論を展開する。

「どう見たって源君が木名瀬さんにつき纏っている構図じゃない? それなのに、どうしてあなたが源君に迫っていると形成が逆転しているのよ」

「それは源君が人気者で、私に嫉妬して悪く言っているだけじゃないの?」

「でも誰かが言ったから噂は広まるわけでしょ?」

「そうだけど……」

 その誰かは源君じゃないと思うんだけど、細川さんはそうは思っていないようだ。
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