ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物
ともすれば不安に押しつぶされそう。
領地没収どころか、殺される可能性だってある。
ううん。
嫌だ。
そんなの、絶対、嫌。
死なせたくない。
この、愛しいひとを守りたい。
ぎゅーっとしがみついたら、イザヤもまた、ぎゅーっと強く抱きしめてくれた。
……口に出さなくても、伝わってくる……。
その時が、いつかはわからない。
でも、確実に近づいている。
このオーゼラの国が消滅するときが。
***
硫黄の湖底温泉は、極上だった。
ただ、想定より成分が濃いらしい。
浴槽がわりの舟は、元の木の色がわからないほどに白くコーティングされていた。
そして、硫黄臭の強いこと強いこと!
オースタ島に着いても、硫黄の香りに包まれていることを自覚できた。
「……当分、臭いかもね……私達。」
くんくんと、自分の腕や髪の匂いをかぎながら、そう言った。
イザヤもまた長い髪を無造作にかき揚げては、しみついた硫黄臭に笑っていた。
「すごいな。ここまでとは。……しかし、浜辺の温泉と、こうまで違うとは思わなかったな。おもしろい。……先程そなたが見つけた温泉も、試してみたくなるな。」
「うん。湖底火山が、活発に活動してるのかもしれへんねえ。おもしろいね。ぽっかぽか。」
「……実際に噴火したら、おもしろいとは言ってられぬが、な。」
そりゃそうだ。
でもまあ、噴火なんて、めったに起きないだろう。
箱根で感じるような地震も山鳴りもないし。
「大丈夫やと思うよ。前兆ないし。……ね、いざや?」
鳥かごの中の伊邪耶を覗き込んだ。
伊邪耶は、眠そうに目をしぱたかせながら、ちゅくちゅくと何かおしゃべりしていた。
「前兆って……鳥が騒ぐとか、魚が上がってくるとか、か?」
そう尋ねながら、イザヤもまた伊邪耶の鳥かごを覗き込んだ。
鳥かごをイザヤの目の前に突き出して、私は首を傾げた。
「どやろ?うちの近くに火山ないから、わからんわ。……でも、活火山の近くのお宿に泊まった時、昼も夜も、めっちゃ地鳴りして揺れてたで。……ここ、靜かよね。」
「……そうか。……では、まだ、問題ないか。よかった。な。よしよし。何か感じたら、ちゃんと教えてくれよ。勝手に逃げ出すなよ。」
イザヤは鳥の伊邪耶にそう訴えた。
領地没収どころか、殺される可能性だってある。
ううん。
嫌だ。
そんなの、絶対、嫌。
死なせたくない。
この、愛しいひとを守りたい。
ぎゅーっとしがみついたら、イザヤもまた、ぎゅーっと強く抱きしめてくれた。
……口に出さなくても、伝わってくる……。
その時が、いつかはわからない。
でも、確実に近づいている。
このオーゼラの国が消滅するときが。
***
硫黄の湖底温泉は、極上だった。
ただ、想定より成分が濃いらしい。
浴槽がわりの舟は、元の木の色がわからないほどに白くコーティングされていた。
そして、硫黄臭の強いこと強いこと!
オースタ島に着いても、硫黄の香りに包まれていることを自覚できた。
「……当分、臭いかもね……私達。」
くんくんと、自分の腕や髪の匂いをかぎながら、そう言った。
イザヤもまた長い髪を無造作にかき揚げては、しみついた硫黄臭に笑っていた。
「すごいな。ここまでとは。……しかし、浜辺の温泉と、こうまで違うとは思わなかったな。おもしろい。……先程そなたが見つけた温泉も、試してみたくなるな。」
「うん。湖底火山が、活発に活動してるのかもしれへんねえ。おもしろいね。ぽっかぽか。」
「……実際に噴火したら、おもしろいとは言ってられぬが、な。」
そりゃそうだ。
でもまあ、噴火なんて、めったに起きないだろう。
箱根で感じるような地震も山鳴りもないし。
「大丈夫やと思うよ。前兆ないし。……ね、いざや?」
鳥かごの中の伊邪耶を覗き込んだ。
伊邪耶は、眠そうに目をしぱたかせながら、ちゅくちゅくと何かおしゃべりしていた。
「前兆って……鳥が騒ぐとか、魚が上がってくるとか、か?」
そう尋ねながら、イザヤもまた伊邪耶の鳥かごを覗き込んだ。
鳥かごをイザヤの目の前に突き出して、私は首を傾げた。
「どやろ?うちの近くに火山ないから、わからんわ。……でも、活火山の近くのお宿に泊まった時、昼も夜も、めっちゃ地鳴りして揺れてたで。……ここ、靜かよね。」
「……そうか。……では、まだ、問題ないか。よかった。な。よしよし。何か感じたら、ちゃんと教えてくれよ。勝手に逃げ出すなよ。」
イザヤは鳥の伊邪耶にそう訴えた。