ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物
イザヤは、窓際の明るい場所に鳥籠を置くと、鳥の伊邪耶にそう言い聞かせた。

伊邪耶は、みずから籠の中に入り、餌を啄み始めた。


「いい子だ。……これも、やろう。」

イザヤは満足そうに鳥の伊邪耶をねぎらい、オーツ麦を足した。


「……私がお願いしても、なかなか入ってくれないのに……。」


多少拗ねてそうぼやいたら、イザヤは婉然とほほえんた。


「たぶん、もっと、そなたと遊んでいたいのだろう。……おいで。まいら。」

その声に操られるように、ふらふらと、私はイザヤの腕の中へ吸い込まれた。



……鳥の伊邪耶だけじゃやい。

私も、イザヤの思うままだわ……。


でも……幸せなんだもん……。



身も心もゆだねる心地よさを、私は初めて知った。

そして、どんなに気持ちよい絶頂も、何度も何度も強要されると、わけがわからなくなって、むしろつらいことを知った。


……やっぱり、何でもほどほどがいいんだわ。

中庸ってことね……。



****


「さすがに、腹が減ったな。」

イザヤがそう言って、私から身を剥がしたのは、いったい何時頃だったのだろう。



窓の外は、既に真っ暗だ。

少し雨が降っているような音もしている。


鳥の伊邪耶も待ちくたびれたのか、羽根に頭をくっつけて眠っているようだ。



「まいら。食事にしよう。……まいら?」

イザヤに呼ばれても、私は荒い息を整えることができず……まだ、肩で息をしていた。

真冬なのに、身体中の毛穴から汗が吹き出しているようだ。


ぐったりとのびてしまい、起き上がることのできない私を、イザヤは抱え起こした。


そして、心配そうに覗き込んだ。

「……大丈夫か?……また出血しているようだが……痛むのか?」


あー?

まだ血ぃ出てるの?


全然痛くないけど……。


むしろ、気持ちよすぎて……むにゃむにゃ。



もしかして、生理がきたとか?

……まだもう少し先だと思ったけど……予定、狂ったのかな。


私は、力を振り絞って、ようやくふるふると首を振った。


それだけで、目が回りそうだ。

これって、貧血じゃないかな。

ふらふらするー。


言葉を発することもできず、私は目を閉じた。

そして、イザヤの裸の胸に頬を擦り付けて、もたれ掛からせてもらった。


……しばらく、このままで……いさせて……。

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