ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物
私はイザヤに誘導されて、笑顔になった。
イザヤは満足そうに頷いた。
「ああ。それでよい。……前から思っていたが……そなたは、気負い過ぎだ。楽譜通り必死に演奏しても楽しくなかろう。多少間違えてもよいから、楽しめ。」
……まあ、そーゆーレベルじゃないからなあ……。
ピアノを習っても、一生懸命練習して、やっと楽譜通りに弾けるようになったら、すぐ、次の曲の練習に移って……楽しむって行程は皆無だったわ。
……イザヤがピアノの先生だったら、私、やめないで、今も続けてたのかもしれない……。
もちろん、それでも、イザヤのように自由自在には弾けないだろうけど。
「では、次は、どんな楽器がよい?何でもいいぞ。そなたの好きな曲を弾いてやろう。」
イザヤはそう言いながら、そうっと三味線を片付けた。
「……笛がいい。ガボーイ。」
私の元いた世界でいうところの、バロックオーボエを所望した。
「よし。リードを準備するから、少し待ってろ。……いざや。来い。」
イザヤは三味線を大事そうに抱え、鳥の伊邪耶を肩にとまらせたまま、楽器を置いている部屋へ行った。
独りになった私は、何となく、窓辺に立ち外を眺めた。
雨はもう上がっていた。
黒い雲が、ムードラ山脈のほうへと流れている。
その流れの早さは、まるで台風のようだ。
……と、雲だけじゃなく、眼下にも動いているものに気づいた。
見れば、イザヤの館の使用人が3人、島に上陸したようだ。
中には、執事さんもいた。
私は、窓から身を乗り出して、手を振った。
「おはようございま~す!わざわざ、来てくれて、ありがとうございま~す!館は、変わりないですか~?」
3人はぎょっとしたように立ち止まって、見上げた。
私の姿をみとめると、口々に何かをわめきたてた。
早口でまくし立てられて、聞き取ることができない。
よくわからないけど、イザヤに報告があるようだ。
タイミングよく戻って来たイザヤに伝えたら、顔をしかめられてしまった。
「……聞きたくない。もう少し、そなたと過ごしたい。」
「でも、お城からの呼び出しかもよ?」
「私は、休暇中だ。」
聞く耳を持とうとしないイザヤに対して、大仰に肩をすくめて見せた。
ムッとしたイザヤは、調整中のガボーイのリードを水をはったグラスに乱暴に放り込んだ。
イザヤは満足そうに頷いた。
「ああ。それでよい。……前から思っていたが……そなたは、気負い過ぎだ。楽譜通り必死に演奏しても楽しくなかろう。多少間違えてもよいから、楽しめ。」
……まあ、そーゆーレベルじゃないからなあ……。
ピアノを習っても、一生懸命練習して、やっと楽譜通りに弾けるようになったら、すぐ、次の曲の練習に移って……楽しむって行程は皆無だったわ。
……イザヤがピアノの先生だったら、私、やめないで、今も続けてたのかもしれない……。
もちろん、それでも、イザヤのように自由自在には弾けないだろうけど。
「では、次は、どんな楽器がよい?何でもいいぞ。そなたの好きな曲を弾いてやろう。」
イザヤはそう言いながら、そうっと三味線を片付けた。
「……笛がいい。ガボーイ。」
私の元いた世界でいうところの、バロックオーボエを所望した。
「よし。リードを準備するから、少し待ってろ。……いざや。来い。」
イザヤは三味線を大事そうに抱え、鳥の伊邪耶を肩にとまらせたまま、楽器を置いている部屋へ行った。
独りになった私は、何となく、窓辺に立ち外を眺めた。
雨はもう上がっていた。
黒い雲が、ムードラ山脈のほうへと流れている。
その流れの早さは、まるで台風のようだ。
……と、雲だけじゃなく、眼下にも動いているものに気づいた。
見れば、イザヤの館の使用人が3人、島に上陸したようだ。
中には、執事さんもいた。
私は、窓から身を乗り出して、手を振った。
「おはようございま~す!わざわざ、来てくれて、ありがとうございま~す!館は、変わりないですか~?」
3人はぎょっとしたように立ち止まって、見上げた。
私の姿をみとめると、口々に何かをわめきたてた。
早口でまくし立てられて、聞き取ることができない。
よくわからないけど、イザヤに報告があるようだ。
タイミングよく戻って来たイザヤに伝えたら、顔をしかめられてしまった。
「……聞きたくない。もう少し、そなたと過ごしたい。」
「でも、お城からの呼び出しかもよ?」
「私は、休暇中だ。」
聞く耳を持とうとしないイザヤに対して、大仰に肩をすくめて見せた。
ムッとしたイザヤは、調整中のガボーイのリードを水をはったグラスに乱暴に放り込んだ。